中国SFって何?なんて考えたりしなくていいと思う。書かれた言語がたまたま中国語だっただけ、彼らのバックグラウンドがたまたま中国にあっただけの話。SFという部分は読みたい本を探すときに目安になる程度のこと。
『折りたたみ北京』と題された短編集を読んだ。どれもこれもおもしろい。
フィクションの本を読むのは、実は映画を観るのと然程変わらない。文字が頭の中でイメージに変換・展開されていき、それを観てるのだから、しかも頭の中だけに映画よりも映像の域が広い。
鼠年【鼠年】
何かを読み落としてる気がするので感想は控える。
麗江の魚【麗江的魚兒們】
一度雑誌で読んでいたにも拘わらず結末を覚えていなかった。多分当初読んだとき意味がわかっていなかった。麗江は麗江旧市街地として世界遺産に登録されている。
麗江旧市街|中国・雲南省 文化遺産|世界遺産オンラインガイド
沙嘴の花【沙嘴之花】
そこが内なのか外なのか。香港の隣、深センに沙嘴村というところがあって、かつて売春街で有名だったそうな。オルタネートな沙嘴で、ぶるっと震える一編。
妬みは男が怖いが怨みは女が怖い。
百鬼夜行街【百鬼夜行街】
小倩と言えばチャイニーズコースト・ストーリー。物語は二十四節気で巡る。
童童の夏【童童的夏天】
心温まる。熊のアニメとぬいぐるみで以前ドラマか映画に出てきたケアベアの逸話を思い出した。確かどんな時もあいつらいつも笑ってる、とかいう話。AR(拡張現実)やヒューマンオーグメンテーション、ボストン・ダイナミクスとかで、数年後にはあり得る話ではないかとも思う。
龍馬夜行【龍馬夜行】
なんだかアレを思い出すと思ったらアレだった。
Long Ma-"La Machine"-Byward Market Walkabout-Ottawa-2017
沈黙都市【寂靜的城】
国による言葉の検閲は本当にあったりするから、ポリコレどころじゃなくて。オーウェルの『1984年』も絡めた一編。名作は世界中で読まれ受け継がれるものだなぁ。「沈黙都市」ではなく「沈黙の都市」ならスティーヴン・セガールが助けにやってきたかもしれないが…。
後編に続く