電気犬の夢を見るか?

フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだ。

実は一度もF・K・ディックの本を読んだことがなかった。SFマガジンを読みはじめたのはここ2、3年で、それまではSF小説と言えば、宇宙を舞台にしたものだけを想像していた。でも実際はそうではなかった。読書はジャンルレスでしていて、特に意識はしていなかっただけで実はSF小説と言われる類いの本も読んではいた。でもディックの本はこれまで一度も読んだことがなかった。

読了後、やっぱり読み継がれる理由はちゃんとあるのだな、と思った。物語を通して明確にみえてくる主題が永遠普遍の問い掛け、人間とは何か、人間らしさとは何か、というものだった。とは言ってもその答えはもはや出ている気もするのだが…。

あらゆる生命が失われつつ暗い未来の地球を舞台に人間と有機ヒューマノイドロボットを描くことで簡潔かつ完結にその問い掛けを見せてくれる。

それとヒューマノイドロボット以外に電気動物が出てくる。死の灰でかつて当たり前に存在していた動物たちが絶滅しつつある中で、動物を飼うことは一種のステータス、でも高価な動物は貧乏人にはなかなか買えないし飼えない。だから代替品としての電気動物が出てくる。一見本物のような電気動物たちの使命、もちろんその設定はよくわかる。

物語とは関係ないけどちょっと面白いかも、と思ったのは、本物の動物が飼える今の世の中で、電気動物を飼うことの意味はなんだろう、ということ。小さい頃に電池式の、セントバーナード犬に似せた歩いては立ち止まって吠えるを繰り返すオモチャで遊んでいたことがある。大人になって充電式の、見た目を本物に似せることを放り投げたクマ顔の電気犬(ERS-311B)を飼っていたことがある。それって結局なんだったんだろう、てこと。単に世話が大変とか動物を飼っちゃいけないとこに住んでるとかの問題じゃない気がするのでちゃんと考えてみようと思う。

なにはともあれ、AI(人工知能)が普通になりつつある今の時代だからこそ、この本は一読の価値ありの一冊だと思う。しかも300頁強の薄い本だし、無駄のないわかり易い文章に抜群のストーリー展開、間違いなく面白いので誰にでもお薦めしたい。

映画『ブレードランナー』は観たことあるけど、小説は映画とは全然違う印象と感想なのだった。もうすぐ公開の『ブレードランナー2049』を観る前にもう一度『ブレードランナー』を観てみようとも思った。

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