奇異博士

ベネディクト・カンバーバッチ主演の『ドクター・ストレンジ』、評価を全く聞かないからつまらないんだろうとは思いつつと、気分転換しようと金曜日レディースデイで割引している映画館へ観に行った。最近はカンファタブルな椅子に座って3D IMAXで観ることが定番化しつつあったけど、昔ながらの背もたれ高いアンカンファタブルな椅子で背筋伸ばして首伸ばして(じゃないとスクリーンが全部見えない)2D字幕でえっこらしょっと観てきた。

 

そしたら思いの外おもしろかった!これはIMAX3Dで観るべきだったのでは?と。

劇中"アヴェンジャーズ"という言葉が出てくるまでマーベルシネマティックユニバースのことなんか忘れてた。わたしはそこに関心があまりないから、そのシリーズは半分くらいしか観てないし、Netflixドラマ『ルーク・ケイジ』で"ニューヨーク決戦"という言葉が度々出てくるけど、未だになんのことなのかわかってないし、どの映画を観ればわかるのかも知らない。だからドクター・ストレンジはマーベルシネマティックユニバースのことはほとんど関係なく観れて楽しめる(わからないと困るのはオマケ映像くらいかな)。

 

この映画の基本概念は多元宇宙と時間、そして魔術(魔法)。魔術で空間、時間を操れるとしている。その魔術でそれらをどこまで操るのか、操っていいのか、というのが一種の見どころかな。サイエンス・フィクションとファンタジーが合わさった世界観での戦いも勿論見どころ。

時間ってなんだろう?

時間って難しい。どう説明するんだろう。日常生活で時間といえば直線上のある一点で、それは連続していてとどまることはなく、常に未来と過去が隣合わせで、今は今しかなく、今はすぐに過去になるし、未来はいずれ今になるし、過去にもなる。『スター・トレック/ディープ・スペース・ナイン』の第1話でも時間の概念がない異星人にそんな説明をしていた気がする。

多元宇宙ってなんだろう?

宇宙は1つではなく、わたしたちが存在し、認識している宇宙以外にも複数存在しているということ。今のところわかりっこないことなのでどうしようもないのだけれど、あると思った方がより楽しいはず。地球のある天の川銀河以外にも銀河は恐ろしくたくさんあって、人類のような生命が存在しないと考える方が非論理的かもしれないのだし。

 

ドクター・ストレンジが師事することになる魔術師(魔法使い)のマスターことエンシャント・ワンのキャラクターが男性から女性へ、かつ東洋人から西洋人へと設定変更されたことには色々非難もあったけど、彼女も元々はそこへ流れついたケルト人でいつしかマスターになったという設定にしてあったので、誰でも受け入れる寛容なアジアということで、それはもうどうでもいいことに思えた。

そして演じていた女優さんは『ナルニア国物語』で白い魔女を演じたティルダ・スウィンストン。ソーサラー繋がりでいいんじゃないって思ったし、しかも彼女は『オルランド』という映画で、男性から女性へと自然と性転換し400年生き続けるという役を演じたことがあるのだから、この設定変更ではある意味打ってつけの配役だったのかもと。

 

それと敵役のマッツ・ミケルセンデンマークの至宝と言われているので堪能すべし。

ベネディクト・ウォン演じるウォンに名前は"ウォン"だけかとベネディクト・カンバーバッチ演じるスティーブン・ストレンジがいろいろ言うくだりが笑えた。グラミー賞受賞アーティストのアデルは聞こえてこないと思うけどビヨンセは聞こえてくる。

 

続編もありそうで楽しみ。ドクター・ストレンジのコスプレにはやっぱり慣れないし、似合ってるとも思わないけど。それでも夜は明けるしね。