美人魚(人魚姫)

周星馳の映画『人魚姫』を観た。チャウ・シンチー、以前はそんな好きではなかったけど、慣れてしまうと好きになる。

ウディ・アレンの映画が金太郎飴のごとくどの映画を観てもウディ・アレンなのと同様に、否、この映画はさらに細かく、金太郎アメのごとくどのシーンを見てもチャウ・シンチーだった。それに、冒頭から終わりまで、小さい子供からお年寄りまで誰が観てもわかるように作ってあるのがすばらしかった。ラジオでライムスターの宇多丸さんはそうは言ってなかったけれども、何の話しかわからなくて途中まで誰にも感情移入できないとかなんとか。"誰が観てもわかる"はわたしの過信なのか?

まず、冒頭の環境破壊や魚の乱獲映像で大きなテーマを思わせぶりに提示、次に、くだらなさが最高!のUMA博物館で映画タイトルである人魚姫とはなんぞやを定義、それを踏まえて物語が始まる。これに関しても宇多丸師匠は全くストーリーとは関係ないけどおもしろい的なこと言ってたな。アンデルセンの人魚姫を知らなくてもこのシーンを見れば人魚姫が何かわかるはず、だからわざわざこんなシーンをぶち込んでると思うのだけども。ストーリーと関係ないかもしれないが、絶対的になくてはならないシーンのはず。

物語は、アサシンとして送り込まれた人魚姫と悪趣味成金青年とのなんやかんやをメインに、美脚悪女やタコ兄貴の厄介ごとをサブとして、予想できるベタな笑いとやり過ぎ感半端ない笑いと予想外の笑いのなか進んでいく。でも話しがぐーんと進むと変な方向に、美脚悪女とマッドサイエンティストが良からぬことを……ひと言で言ってしまうと大・殺・戮!?

とはいってもチャウ・シンチー、観終わった後はすごくいいもの観たな、という気分にさせてくれた。ちょっとした幸福感、「いやー、映画って本当にいいもんですね」と言いたくなる感じ。

タコ兄貴を演じているのはお馴染み、小豬ことショウ・ルオ、台湾出身のタレントで歌手としても散々ではなく沢山CDを出していて、日本語も話せて、かつて「アジアのダンス・キング(亞洲舞王)」と言われた男。じつはタコ兄貴には一切期待してなかったのだけど、身体を張った芸に泣けるぐらい笑ってしまった。それとex.EXOのクリス・ウーが客演。でもほんのちょっとなのでファンは期待するなかれ。それよりも『西遊記〜はじまりのはじまり〜』の続編で、今年のアジアの正月映画として公開されたツイ・ハーク監督の『西游·伏妖篇』に期待を、なんと言っても三蔵法師役!主役!

ともかくとても楽しめた映画だった。これぞエンターテイメント、監督チャウ・シンチーはすごい。そんなチャウ・シンチーペンネームにしている彼もすごいなと改めて思う、まだ本は読んだことないけどリスペクト、馳星周

 

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